三月一日
- takashimorijiri
- 2022年3月2日
- 読了時間: 1分
もう三月になった。路肩に寄せられている雪の背が低くなり、溶けた雪が水になって路面に流れては乾いていく。春が近づいてくるのが感ぜられる。
しかし戸隠は春が来るのを拒んでいるようだ。止水栓をみつけるために掘っていた庭は再び雪に埋もれ、裏の家の方が除雪してくれた玄関前は、屋根から落ちる雪が積み重なり雪山のなかの雪山と化していた。
家に近づくために、ぼくはまずその雪山のなかの雪山をのぼらなければならなかった。
玄関につくとそこにうんこがあった。
犬なのか猫なのか狸なのかはわからない。
ぼくはそのうんこをスコップですくいあげ、雪山のなかの雪山にほうりなげた。うんこは高々と粉雪舞う宙を飛び、大小いくつかの塊に分裂し、ぽすっと雪山のなかの雪山にはまりこんだ。
ええと、ちがうちがう。うんこにとらわれている場合ではない。除雪作業をこつこつとでもすすめていかなければならない。
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