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八月二十一日

  • takashimorijiri
  • 2021年8月21日
  • 読了時間: 1分

更新日:2021年8月22日


屋根をほぼ葺き終えた。いつまでかかるやら、と思っていたが、一気に仕事がすすんだ。

雇われ労働から解放された気分を味わっている。どうせ縛られるなら自分で自分を縛ったほうがまし。それでも他のことに縛られるのだが。

赤いガルバリウムの中に白い木が鱗のようにはり込まれているのは異様だ。傷があった証拠を残すことはできたが、それでもジェントリフィケーションの感は否めない。だから気持ちが悪い。これを反省して、次の修復に活かすことにしよう。

まるで家が生きているかのようだ。息をして、蠢いている。その場所にいながら、足が生えて、どこにでもいけるような、そんな家になるだろう。D&G(ドルチェ……ではない)「千のプラトー」に、その場にいながらの移動について書かれていたことを思いだした。たぶん、塔の中のヘルダーリンもそう、カントも、鴨長明も、ヘンリー・ダーガーも、メアリー・シェリーも、エミリー・ブロンテも、ヴァージニア・ウルフも、エミリー・ディキンソンも、いまの多くのひとたちもたぶん。


 
 

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