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十月十八日

  • takashimorijiri
  • 2022年10月18日
  • 読了時間: 2分

更新日:2022年12月9日

薪ストーブの設置がおおまかに終わった。以下その模様を記しておく。

スマホにサイトの編集アプリを入れたことと、これとは別に書いていた日常に関する文群が一段落したこともあり、こちらの投稿頻度が増えていくことが予想される。


壁に穴をあけると石膏ボートの奥に古い土壁が顔をだしこんちわっとぼくに挨拶する。ぼくもこんちわっと挨拶する。土壁の吐息は現代の空気に住む昔の知人友人恋人とひさびさの再会をはたしては交雑していった。

土壁を掻きだし、組まれている木や縄を切り、奥のトタンに到達した。しかしメガネ石を囲う予定の木枠が、土壁のなかの木、しかもとてつもなくぶっとく丈夫な木が邪魔でどう考えても入らない。しばらくはそのとてつもなくぶっとく丈夫な木を切ろうと試みてはみたものの全然捗らないししまいにはぼくの心と一緒に細いノコギリの刃がぽきっと折れてしまう。思案した結果、木枠を入れるのをやめて直接メガネ石を穴にはめ込み、隙間はてきとうに木を切ってあてはめることにした。これは土壁とメガネ石の耐火性、耐熱性にすがってのことだ。

そうして煙突とりつけの準備をできたことにし、煙突をとりつけた。

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作業を終えたら疲れた体、癒そうよと体がいうからその声にしたがい温泉へむかった。たまたま今日はサービスデーで300円で入浴することができる。体を流し、湯につかりぷはあ~。周囲をみわたす。男がひとり隅のほうに腰かけ湯に足をつけている。それは安倍晋三だった。そう、あの安倍晋三だ。ぼくはしばらく安倍晋三と湯につかっていたが、なにやら異臭がする。ほう、これが死臭というやつか、とぼくは湯からあがり体を洗う。すると安倍晋三は窓を開ける。山の冷気がぼくをおそう。寒みい、寒みーよ安倍晋三とぼくは思う。あるいは、ほう、これが黄泉の冷気か、と思う。安倍晋三はこちらをちらと見る。ぼくはその視線(死線)を感じちらと見返す。ほくそ笑んでいる。それから安倍晋三はぼくのとなりの椅子に座り体を洗いはじめる。首を洗い、胸を洗い、腹を洗い、背を洗う。脇を洗い、腹を洗い、臍を洗い、股間を洗う。おっほっと安倍晋三から声が漏れでる。その息がむわっと広がりぼくの鼻をつく。うむ、死臭である。ぼくは安倍晋三の顔をまじまじと見つめる。何見てんねん、とおっさんはいう。

 
 

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